Strategy & Decision

すべての人のためのプロダクトは、誰のためでもない

「このプロダクト、誰向けですか?」

「全員です!」

その瞬間、失敗が確定する。

ターゲットを絞る恐怖

多くの起業家が、ターゲットを絞ることを恐れる。

「若者向けにすると、高齢者を失う」
「初心者向けにすると、上級者を失う」
「女性向けにすると、男性を失う」

だから、「全員向け」にする。でも、これが最大の間違いだ。

Facebookの例

Facebookは、最初から「全員向け」ではなかった。

最初は、ハーバード大学の学生だけ。次に、アイビーリーグの学生。その後、大学生全般。

徐々に広げた。でも、最初は極端に絞った。

もし最初から「全員向けSNS」として始めていたら、失敗していただろう。

ターゲットを絞ると、何が起きるか

ターゲットを絞ると、不思議なことが起きる。

メッセージが刺さる。 「あなたのためのプロダクトだ」と感じる。

機能が明確になる。 誰のためかが明確だから、何を作るべきかも明確になる。

コミュニティができる。 同じターゲットの人たちが集まる。

口コミが広がる。 「これ、〇〇な人に最高だよ」と具体的に勧められる。

「全員向け」の罠

「全員向け」にすると、こうなる。

メッセージがぼやける。「誰でも使える」は、「誰も使わない」と同じだ。

機能が中途半端になる。若者向けの機能と高齢者向けの機能を両方入れると、どちらも中途半端。

コミュニティができない。バラバラな人が集まっても、繋がりは生まれない。

口コミが広がらない。「誰にでもいい」は、勧めにくい。

Slackの例

Slackは、「企業向けチャットツール」として始まった。

個人向けではない。コンシューマー向けでもない。明確に「企業向け」だ。

もし「誰でも使えるチャット」として始めていたら、LINEやWhatsAppに勝てなかっただろう。

ターゲットを絞ったから、成功した。

ニッチから始めろ

「ニッチすぎると、市場が小さいのでは?」

そう心配するかもしれない。でも、逆だ。

最初は、ニッチでいい。むしろ、ニッチであるべきだ。

小さな市場を完全に支配する。そこから、徐々に広げる。

Amazonは、「本のオンラインストア」から始まった。
Airbnbは、「サンフランシスコの安宿」から始まった。
Uberは、「サンフランシスコの高級車配車」から始まった。

ニッチから始めて、広げた。

ペルソナを作れ

ターゲットを絞るには、ペルソナを作れ。

名前をつけろ。年齢、職業、趣味、悩みを具体的に。

「30代の会社員」ではなく、「35歳の田中さん。IT企業で働くプロダクトマネージャー。毎日会議に追われ、本質的な仕事ができないことに悩んでいる。」

ここまで具体的にしろ。

そして、田中さんのためにプロダクトを作れ。

広げるのは、後でいい

「ニッチから始めたら、いつ広げるんですか?」

焦るな。

最初のターゲットを完全に満足させてから、広げろ。中途半端な状態で広げるな。

まず、小さく勝て。そこから、広げろ。

誰かを失望させる勇気

ターゲットを絞ると、誰かを失望させる。

「私には合わない」と言う人が出てくる。

でも、それでいい。むしろ、それが正しい。

全員を満足させようとするより、特定の誰かを完全に満足させる方が価値がある。


すべての人のためのプロダクトは、誰のためでもない。

ターゲットを絞れ。極端に絞れ。そして、その人のために、最高のものを作れ。



このような考え方で、事業開発やプロダクトづくりを支援しています。
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