「この機能、追加しました!」
そう言って、誇らしげに発表する。でも、ユーザーは喜ばない。
なぜか?機能を追加しても、体験が良くならないから。
機能リストの罠
多くのプロダクトは、機能リストで競争する。
「うちは機能が50個ある」「競合より10個多い」「この機能もある、あの機能もある」
でも、ユーザーは機能の数を気にしない。ユーザーは、使いやすいかどうかを気にする。
iPhoneの衝撃
iPhoneが出た時、スペックは競合に劣っていた。
カメラの画素数は低かった。バッテリーは交換できなかった。物理キーボードもなかった。
でも、圧倒的に勝った。なぜか?体験が良かったから。
タッチスクリーンの滑らかさ。アプリの起動の速さ。すべての動作の心地よさ。
機能ではなく、体験で勝った。
Spotifyの例
Spotifyが成功した理由は、機能の数ではない。
曲数は、他のサービスと大差なかった。音質も、特別良いわけではなかった。
でも、体験が圧倒的に良かった。
曲を探しやすい。プレイリストが作りやすい。レコメンドが的確。友達と共有しやすい。
体験の良さが、勝因だった。
体験を作るとは
体験を作るとは、ユーザーのジャーニー全体を考えることだ。
ユーザーは、どこからやってくるのか?
最初に何を見るのか?
どんな順番で操作するのか?
どこでつまずくのか?
ゴールにたどり着けるのか?
機能単体ではなく、全体のフローを考える。
マイクロインタラクション
体験を作るには、細部が重要だ。
ボタンを押した時の反応。読み込み中のアニメーション。エラーメッセージの言葉遣い。
こうした「マイクロインタラクション」が、体験の質を決める。
Stripeの決済フォームは、入力欄が滑らかに動く。カード番号を入力すると、カードの種類を自動認識する。エラーがあれば、優しく教えてくれる。
機能としては、ただの決済フォームだ。でも、体験として、圧倒的に優れている。
感情をデザインする
体験を作るとは、感情をデザインすることだ。
ユーザーに、どんな気持ちになってほしいのか?
安心してほしいのか。ワクワクしてほしいのか。達成感を感じてほしいのか。
機能は、感情を生まない。体験が、感情を生む。
機能を足すな、体験を磨け
新しい機能を追加する前に、既存の体験を磨け。
使いにくい部分はないか?分かりにくい部分はないか?ストレスを感じる部分はないか?
機能を100個作るより、1つの体験を完璧にする方が価値がある。
機能ではなく、体験を作れ。
ユーザーは機能を買わない。ユーザーは体験を買う。